関東大震災以降の浦和には美術家たちが多く移り住み,アトリエ村のようだと言われました。当館では,「牧歌的風景の記憶-跡見泰と武内鶴之助にみる浦和アトリエ村のはじまり」,「デスマスクにみる友情-時代の共有者・奥瀬英三と林倭衛」,「赤羽夕景-高田誠と石井桃子の家路より」と今まで3回にわたりその様相を紹介してきましたが,本展はその続編として,須田剋太ら6人の特徴ある美術家の足跡を,浦和在住期を中心としつつ3篇のオムニバスで紹介します。作家の個性を見つめるとともに,作品に表れる時代背景やなぜこの地が好まれたのかについても眼を向けたいと思います。
また,さいたま市と岩槻市との合併を記念して,共にゆかりのある画家,田中保(たなか・やすし)を特別コーナーで併せて紹介します。渡米,渡欧後,一度も帰国することなくパリで没したため,しばらく忘れられていましたが,近年裸婦をはじめとする作品で徐々に知られるようになった画家です。