日本の絵画は、はなやかな色彩による表現を生み出す一方、墨の濃淡で表す水墨画の流れもつくりだしてきました。人々は、水墨画のもつ繊細な墨の調子や余白に精神性を感じたり、自由な筆の動きを楽しんだりするなど、さまざまに魅力を見出してきました。
そしてその歴史は、明治以降も受け継がれています。
この展覧会は、近代の水墨画の収集で知られる富山県水墨美術館の所蔵作品のなかから、名品を選りすぐり、明治から現代にいたる水墨表現の流れをご紹介しようとするものです。富岡鉄斎(とみおかてっさい)や横山大観(よこやまたいかん)、竹内栖鳳(たけうちせいほう)から、現代の加山又造(かやままたぞう)、高山辰雄(たかやまたつお)まで、出品作家はいずれも一級の作家ばかりです。
水墨表現の歴史に新しい魅力を付け加えてきた名品をご覧いただくのはもちろん、作家の知られざる一面を発見する機会にもなるはずです。どうぞお楽しみください。