この度、米子市美術館では、米子市と淀江町の合併を記念して、淀江町出身の洋画家で当館収蔵作家である國頭繁次郎(くにとう しげじろう/1916~1969)の初期から晩年までの代表作を中心に紹介します。
國頭は、戦時中従軍し、終戦後はシベリアに抑留、4年間の過酷な生活を強いられ、本格的に絵の制作を始めたのは帰還後、30歳を過ぎてからです。故郷の淀江に居を構え、『みずゑ』等の美術雑誌に掲載された作品に着想を得ながらほぼ独学で絵画制作に取り組み、35歳の時、第19回独立展に出品した≪裸婦≫(米子市美術館蔵)が初入選を果たしました。以後、自らの従軍・抑留体験からにじみ出る戦争の残虐性を訴えた作品をはじめ、身近な動植物、ふるさとの自然や風物にモチーフを求め、気迫に満ちた作品を次々と発表。下地にセメントや灰などを用いた重厚な絵肌の≪古代の馬≫連作により独自の画風を確立しました。
本展では、当館所蔵作品に併せ、作家のご遺族及び、鳥取県立博物館、米子市役所淀江支所(旧・淀江町役場)が所蔵する油彩画、素描、参考資料により構成し、國頭の画業を改めてたどります。