自然とのかかわりで美術を考え、多方面の活動を通じて、絵を描く楽しみ、ものをつくる喜びを伝える三人の美術家、田島征三、谷川晃一、宮迫千鶴の作品を紹介します。三人はともに1960年代から活躍し、絵の制作以外にも、それぞれ絵本や美術批評、社会批評その他に取り組み、美術の概念を押し広げてきました。その既成の枠にとどまらぬ大胆な発想と試みは、常に新鮮な刺激となって孤立しがちな美術界の門戸を広げ、幅広い層から支持を得ています。
三人は現在、海と山にかこまれた伊豆高原に住み、スローライフを実践するとともに、草の根的な働きかけで毎年「伊豆アートフェスティバル」を開催しています。近隣の小・中学校や住民たちが楽しみながら参加するこのフェスティバルは、三人が長いあいだ個々の制作において求めてきた、「人生を豊かにする美術」のひとつの表れかもしれません。