中世の奈良は、諸大寺を中心とする学問の都として栄えましたが、そこで創り出された学問を東国に輸入する窓口となったのが、鎌倉・金沢でありました。そこえ、県立金沢文庫開館七十五周年に際し、国立博物館巡回展の一環として、奈良国立博物館の所蔵品を、金沢文庫において一堂に展観するはこびとなりました。国宝・重要文化財を含む仏教美術の名品をはじめ、特に鎌倉文化の造形を伝える作品を選んで公開いたします。
なお、奈良国立博物館に保管されている十二神将像(太寧寺旧蔵)が、半世紀以上の時を経て、はるばる旧地に里帰りします。これに合わせて、今も太寧寺(金沢区片吹き)に安置される本尊・薬師如来像も陳列し、薬師・十二神将が一具となった本来の姿をご覧いただきます。