オランダ出身のストリート・フォトの先駆者エド・ヴァン・デル・エルスケン(1925-1990)の処女作「セーヌ左岸の恋」(1956)は、第2次世界大戦後のパリ、サン・ジェルマン・デ・プレに集まるアウトサイダーたちの現実を活写し、これに切ない恋物語を付したフォト・ストーリーです。被写体はパリ滞在中のエルスケンの仲間たちで、撮るものと撮られるものが同じ目線に立つ清新な写真表現は、戦後の精神的な空白の中で青春を軋ませる当時の若者たちから絶大な支持を得ました。
この展覧会は、「セーヌ左岸の恋」の出版当時のレイアウトを可能な限り忠実に再現し、紹介しようとするものです。あわせてエルスケンが撮影したビデオ作品も上映したします。ご期待ください。