19世紀末以降、多くの芸術家は自己の主観性や内面性を深く追求し始めるようになります。そのような芸術家の作品には、画家個人の感性や思想、人生における様々な体験やそれにともなう感情などが、色や形、モチーフとなって表現されています。
当館「服部一郎記念室」では、故服部一郎(1932-1987、元セイコーインスツルメンツ・セイコーエプソン社長)の西洋絵画コレクションを順次紹介してまいりました。この度の展示では、20世紀にフランスを中心に活動した画家たちの作品から、彼らの内面世界が特に強く感じられる絵画を展観いたします。詩情豊かな幻想的世界を描いたマルク・シャガールや、ジョルジュ・ルオー、アントニ・クラーヴェの作品など26点が出品されます。目に見える形や色彩の世界と、それらを通して表れる目には見えない画家の心の世界とを、併せてご堪能いただければ幸いにございます。