曽宮一念(そみや・いちねん/1893-1994)は、今日、洋画家ながら、長命な生涯において、絵画、随筆、詩書等にわたり多彩な創作活動をした孤高の画家として知られています。写生をもとにしながら、一度その感動を胸中におさめ、心象風景といえるまでに昇華した表現が、今もなお魅力を放っています。のびやかな筆勢でつくられた単純化されたフォルムと渋く輝く色彩によって表現され、まさしく自然の息づきと画家の生命が融合しています。
大川美術館では、画家の没後の1995(平成7)年度に、ご遺族から油彩画、素描、書84点を寄贈していただき、1996年「曽宮一念・遺作展」(前期・後期)を開催しました。今年は、この画家の生誕130年にあたることから、寄贈作品を中心に、あらためて画家の芸術を顕彰しようとするものです。
なお今回の展覧会では、大川美術館のコレクションの中核となっている松本竣介と曽宮一念との昭和戦前期における交流をものがたるハガキ資料を初公開します。