月岡芳年(つきおかよしとし)(天保10~明治25年/1839~92年)は、江戸から明治へと急激に変貌する時代に活躍した浮世絵師です。
江戸に生まれた芳年は、12歳で武者絵の名手・歌川(うたがわ)国芳(くによし)に入門し腕を磨きました。社会制度や価値観などが大きく転換した幕末・明治の激動期には、得意とした師ゆずりの武者絵はリアルな戦闘画へと変化し、「血みどろ絵」「無惨絵」と呼ばれるシリーズが芳年の代名詞となりました。その後、歴史画、風俗画の大ヒットにより、人気浮世絵師への階段を一気に駆け上がったのでした。その大胆な構図、鮮やかな色彩、人物のアクロバティックなポーズは、現代のわれわれをも魅了します。本展では、芳年のコレクションとして世界屈指の質と量を誇る西井正氣(にしいまさき)氏の所蔵品から、素描や版木、肉筆画などもあわせた200余点を紹介します。最後の浮世絵師と称された芳年の巧みな技と豊かな想像力、卓越した画面構成のセンスをご堪能ください。
(展示作品の一部に、ショッキングな表現が含まれます。)