商工業都市として発展してきた大阪は、東京や京都とは異なる独自の文化圏を形成し、個性的で優れた美術作品を生み出してきました。市民文化に支えられた近代大阪の美術は、江戸時代からの流れをくみつつ、伝統にとらわれない自由闊達な表現を花開かせました。
本展には、妖艶で頽廃(たいはい)的な作風で人気を博し、「悪魔派」と揶揄(やゆ)された北野恒富(きたのつねとみ)や、大阪における女性画家の先駆者で上村松園とも並び称された島成園(しませいえん)をはじめ、明治から昭和前期にかけて近代大阪で活躍した画家たちが集結します。東京や京都の画壇の陰に隠れて、その独自性が見えづらかった大阪の日本画に関する史上初めての大規模展覧会といえるでしょう。