60歳を機に政界を引退ののち、神奈川・湯河原の自邸「不東庵」で、晴耕雨読の閑居暮らしを始めた細川護熙氏(ほそかわもりひろ、1938-)。その後始めた作陶は、幅広い種類のやきものを手掛け、その創作意欲、関心は、漆絵や書画、水墨画へと広がり、様々な素材、技法を試しながら、80歳を超えた今も大作に挑む毎日です。
近年は、京都・奈良の縁のある寺院のために、襖絵や障壁画を描き奉納。それらの作品には、日本の歴史的文化、日本人の美意識、感性を守りたいという願いがこめられています。
気ぜわしく、また不安な現代社会にあって、さらに還暦を超えていかに生きがいを見つけていくべきか考えるとき、細川護熙氏の美の探究は、ある一つの理想の世界観を示しているのではないでしょうか。本展では、こうした細川護熙氏の美の世界を100点の作品によって紹介します。