本館蔵の『聆涛閣集古帖(れいとうかくしゅうこちょう)』は江戸後期に神戸・住吉の豪商吉田家が三代にわたり編纂した全四六帖の図譜集で、考古資料、文書・典籍、美術工芸品など、実に様々なジャンルに及ぶ著名な歴史資料約二四〇〇件が鮮やかな彩色で描かれています。今回は本品に描かれた古器物やその複製・復元品等を立体的に展示し、二次元の世界を三次元に復元することを目指します。
また吉田家関連資料から浮かび上がる好古図譜編纂の背景、吉田家旧蔵コレクション、同時代に関心が高まる正倉院宝物図とその模造製作の世界、好古家の古器物へのまなざしとネットワーク等に関する展示から、近代的な博物館が生まれる前の「いにしえ好き」たちの歴史資料への豊かなまなざしを明らかにします。