このたび丸亀市猪熊弦一郎現代美術館では、国内の美術館では初となるやなぎみわの本格的な個展を行います。やなぎみわは1990年代半ばからCGを用いたデパートのエレベーターガールや案内嬢の巨大な写真作品を発表し注目を集め、その後も国内外で作品を発表するなど現在日本を代表するアーティストのひとりです。
本展では、2000年からスタートしたやなぎみわのライフワークとも呼びうる「My Grandmothers」シリーズと、本展のために制作された待望の新作シリー
ズが中心に展示されます。
「My Grandmothers」シリーズは、まずモデルが自ら半世紀後の姿について想像するところからスタートします。そしてやなぎとモデルが対話を重ね、互いに納得し辿り着いた姿が、特殊メークやCGを用いた「理想のおばあさん」として写真作品上に生み出されます。様々な老女の姿はやなぎ自身が持ちたいと願う理想の祖母の像であり、いま、ここにいる自分たちを未来へと導いてくれる存在でもあるのです。
新作シリーズの一つ「寓話」シリーズでは、老女と少女が登場する寓話の場面をヒントに、密室の中で少女モデルたちが老若の間を往復し、その交換と混合を繰り広げます。モデルと作家が物語を共有する「My Grandmothers」シリーズとは対極の、密やかで奇妙な夜伽話を覗いてみて下さい。
やなぎが創り出した数々の老女の姿はあなたに何を問いかけるでしょうか?