ルネッサンス以降、ヨーロッパ文化の中で台頭したバロック文化は、16世紀後半にローまで起こり、アルプスを越え、ドイツやフランス、フランドル、オランダ、そしてスペインといった国々に広がり18世紀まで続きました。その特色は、透徹したリアリズムや強い明暗の対比と装飾性、そして劇的な演出、度を超えた壮大さなどで特徴づけられます。特にイタリアやフランドル、スペインでは、そのような表現の宗教画が人々の心により強く訴えかけ、多くの民衆をカトリック信仰へと戻す役割を果たしました。一方、新教徒の多かったオランダでは、礼拝像や祭壇画は教会から追放され、市民の好みにあったわかりやすく親しみやすい風景画や風俗画、静物画、肖像画などが発展しました。
本展では、ポーランドのヨハネ・パウロ2世美術館ポルチェンスキー財団のコレクションの中から、17世紀の最も偉大な画家のひとりに数えられるルーベンスとその工房、肖像画家として多大な名声を博したレンブラント、ヴァン・ダイク、風景画家として比類なき才能を示したロイスダール、スペイン絵画の黄金時代を築き上げたベラスケス、リベーラ、ムリーリョらの巨匠の作品をはじめ、それぞれ特徴を持った画家たちの作品を集めて、後期ルネッサンスからバロック絵画の大きな流れを展観します。