一瞬は この形
遠出もし難い世相が続く中、引っ越してから身の回りの風景も変化した。
全力で止まっている期間を経て、暫くぶりに絵を描ける場が整い、
さて、さて何を描こうかと思い、手始めにこちらに来てから育て始めた植木を描いた。
なかなかしっくりこない。ただ目の前のものの形を追っていても何か違う。
筆を動かしていると、別のカタチがチラついた。
以前訪れた植物園、鴨川の桜、家の近所で咲いていた紫陽花。今住んでいる街中にある静かに風鈴の音がしていた小さな神社。
絵に重ねていく、見たかったものに近づいた。
思考が入る前、頭の中で繋がる、場所もカタチも違うが重なる動きを画面の中に作っていく。
出来た絵は、現実には存在しない風景にはなるが、そうだったこういう動きだったと頷ける。
今一瞬はこの形をしているだけ、その愛しい形の連続が記憶に残る。そんな絵を作りたいのだと思い出した。