江戸時代中ごろに太平な世の中になると武具類の需要が減少したため、甲冑師が生み出した「自在置物」。鳥や蛇等のさまざまな生き物を金属で表現し、まるで生きているかのように自在に動かすことができることからそう呼ばれました。
満田晴穂は、東京藝術大学美術学部工芸科に在学中に、自在置物師・冨木宗行と出会い弟子入りします。幼少期から里山が遊び場であったほどの昆虫好きで、5ミリ四方の紙で折り鶴を折るほど手先が器用だった満田の作品は、昆虫への観察力と細密技巧によって生み出される「たまたま金属で生まれてきた命」と呼ばれています。伝統的技巧をさらに進化させてきた満田の作品と、日本文化の源流を求めてシルクロードを旅した平山の作品を併せて紹介します。