さまざまな美術の楽しみ方を体験する「なつやすみの美術館」シリーズ。
12回目のゲストは、和歌山県湯浅町出身の美術家・妻木良三(1974-)さんです。
妻木さんの作品には、波や雲、海岸や山を思い起こさせる柔らかなかたちが、主に鉛筆を用いて描き出されています。それらは具体的な情景というよりも、どこかであり/どこでもない、時間や場所の制限を超えて存在する原初的な世界への入口であるようにも感じられます。
こうした世界へのつながりを、妻木さんは日々ため池のほとりや浜辺を歩くなかで見つける化石や骨、ウニの殻など、さまざまな自然物のなかにも見出します。イメージの源泉としての自然と原初的な世界の共通点。妻木さんが見つけた「はじまりの風景」を、当館所蔵品とあわせて紹介します。