藤川叢三(本名:基、1922-1998)の生誕100年を記念し、その活動を振り返る展覧会を札幌で初めて開催します。
藤川は、旭川に生まれ、東京美術学校(現・東京藝術大学)彫刻科塑造部卒業後、1951年から35年間にわたり北海道教育大学札幌分校(現・札幌校)において彫塑の教官として、多くの彫刻家や教諭を世に送り出しました。
自らの制作においては、当初、日展(日本美術展覧会)に出品しながら堅実な写実的人体像を制作していましたが、1962-64年にイタリアへ留学し、マリノ・マリーニから直接指導を受けたことで、大胆にデフォルメした素朴な表現へと作風を大きく変化させました。
帰国後は、服を脱ぐポーズなど日常の何気ないしぐさのなかに豊かな造形性を湛えた作品を、東京と札幌での個展や道展(北海道美術協会展)に発表しています。また、彫刻のほかにリトグラフ制作にも力を入れており、1975年頃からはその鮮やかな色彩をテラコッタの彩色に取り入れる試みを行っています。
本展では、藤川の初期から晩年までの彫刻、版画、素描約50点を、作品の変遷を追いながら紹介するとともに、優れた指導者としての側面も紹介します。