この度、荻原守衛(碌山)の生前に鋳造された《宮内氏像》が、当館に寄贈されました。
この寄贈を記念して、「生前鋳造《宮内氏像》特別展示」を開催します。
本作品のモデル・宮内良助(1869―1935年)は、当時日本橋で帽子問屋を営む商人でした。同業の碌山の兄・本十の斡旋で制作されたと考えられています。
《宮内氏像》は、荻原の作品のなかでも以下の点でとりわけ興味深い作例です。
①モデルの性格を把握するため彫刻制作に先立った油彩がある。
②荻原自身の意志で日英博覧会(ロンドン開催)に出品されることになっていた。
③荻原がロダンの傑作と称える《ジャン=ポール・ローランス像》との類似が認められる。
今回寄贈いただいた《宮内氏像》は、上記に加え、生前鋳造という点で特別な価値がある作品です。
本展では、宮内良助にまつわる資料をはじめ、⦅宮内氏像⦆の石膏原型も特別公開します。この機会に是非ご覧ください。