「日本画」という呼称は開国後の西洋絵画流入を背景に生まれました。国の主導で美術学校や展覧会が創設された明治期、個性を尊んだ大正期、戦時の国粋と戦後の反動を経て、様々な面で国際化が進んだ現在では何をもって日本画と呼ぶのか定義が難しい状況です。
戦後、人工岩絵具の開発で色数が増えた一方で、近年では古くから用いられてきた描くための道具や画材が次第に入手困難になっています。また生活スタイルの変化によって床の間や和室が姿を消した結果、掛け軸や屏風といった形状も、もはや身近とはいいがたくなりました。それでも描き続けられている現代の「日本画」は、鑑賞する我々にとっては時代を共有しているがゆえに共感しやすく、制作の背景に思いを馳せることもさほど難しくないように思われます。
本展覧会では、新見を含む中国地方ゆかりの物語や自然を題材にした作品を含む60点を紹介します。この機会に現代日本画の魅力を存分にお楽しみください。