2004年、竹久夢二は生誕百二十周年を迎えます。今なお、大正浪漫を象徴する画家として人気の高い竹久夢二の、明治・大正・昭和の三代に及ぶ芸術と生涯の足跡を、約一年間にわたって、当館のコレクションから構成する特集展示によって回顧します。
今回は、その第三弾として、夢二のデザイナーとしての一面に焦点をあてます。
関東大震災(大正12年)以降、急速な都市の再生と、交通網の整備が進むスピード化社会の出現によって、抒情的な竹久夢二の作風は、時代遅れなものとして人気を失いつつありました。
夢二が見出した新しい活躍の場、それは、広告やポスターに代表される商業美術、すなわち、消費生活の拡大によって注目を集め始めたグラフィック・デザインの世界でした。本展では、その生涯に展開された多彩なデザイン活動を通じ、彼をグラフィック・デザイナーの先駆者として位置付けます。