20世紀ドイツを代表する彫刻家のひとりヴィルヘルム・レームブルック(1881-1919)の日本で初めての大規模な回顧展を、デュースブルクのヴィルヘルム・レームブルック美術館とレームブルック家の全面的な協力を得て開催いたします。
レームブルックは、エルンスト・バルラッハ(1870-1938)とともに、19世紀末から20世紀はじめにかけて大きく変貌したドイツの近代彫刻の歴史のなかでもっとも重要な足跡を残しました。デュッセルドルフ美術アカデミーで伝統的でアカデミックな教育を受けたレームブルックは、1910年にパリに赴き、≪ひざまずく女≫(1911)のような革新的な作品によって大胆に近代彫刻を先導する才能のひとりに数えられるようになります。その後、第一次世界大戦のさなかには、≪くずおれる男≫(1915/1916)や≪坐る青年≫(1916/1917)のような人間の実存を直視する代表作を発表します。それらは現代に生きるわたしたちの心にいまだに深く訴えかけてくる烈しさを、静かな表現のうちに秘めています。今回の展示では、これらの代表作を含む彫刻36点、絵画、素描、版画92点が7つのセクションに構成され、また貴重な同時代の資料があわせて展示されます。20世紀後半の代表的なアーティスト、ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)の若き日に、「すべては彫刻だ」と直観させた偉大な才能の全貌に触れるまたとない機会になると思います。