狩野派は、日本美術史における最大の派閥です。室町時代に始まり、桃山、江戸と時の権力者のお抱え絵師となり、明治維新までの400年に渡り繁栄をしてきました。中国水墨画の技法を基礎とし、様々な注文をこなすことで表現を多様化。絵師としての個性は希薄と言われながらも、その表現は時代を反映したものと言えます。上流階層のために描いていた狩野派に対し、浮世絵師は大衆に向けて描きました。「浮世」とは現世のことで、まさに今を映した娯楽として楽しまれています。江戸中期以降は、色彩豊かな版画「錦絵」が大流行。抒情性に加え、今までにない大胆な構図や西洋的視点を取り入れることで、独自の進化を遂げています。本展では、狩野探幽をはじめとする江戸時代に活躍した狩野派と、葛飾北斎や歌川広重などの浮世絵師による錦絵を紹介します。