このたび、奈良県立万葉文化館では開館20周年記念特別展「うま酒の国 大和」を開催いたします。
『万葉集』には三輪の枕詞として「味酒三輪(うまさけみわ)」と詠まれているように、酒は古来より神事と密接に結びついていたと考えられています。酒が神と人とをつないだ神事の場は、やがて人と人とをつなぐ酒宴の場となり、人が集まる酒宴の場は、意匠を凝らした酒器や酒をテーマにした絵画など、文化を生み出す場ともなりました。
そして、人が集まる場には経済活動が生まれます。近代においては酒造家が文化の後援者として活動した例もあり、また、近代における酒の広告用ポスターは日本デザイン文化の発展の中で重要な一面を担っています。
本展覧会では、酒と神事、文化の場としての酒宴、文化の後援者としての酒造家という3つの視点から、絵画・考古資料・古典籍・工芸品などの資料を交えて、大和を中心とした地域における酒と文化の関わりについて検討します。本展覧会を通して、文化を生み出す原動力となった酒の力の一端を感じていただければ幸いです。