洋画家・小磯良平(1903-88年)は、絵の中に空間を作り上げることを意識し、特に光源―どこから光が来て、どのように照らすのか―を重視して制作していました。小磯作品は、柔らかい光に照らされた女性像や、光の反射で輝くモチーフによって魅力を放っていると言えますが、一方で、光あるところには必ず「影」が在ります。光があたることによって生じるその陰影こそ、作品の奥行や人物像の存在感を与えているのです。本展では、小磯が描いた油彩や素描から、光の効果をテーマに作品を選び、描かれた光によって生まれる“裏側”の魅力に迫ります。