マドリン・ギンズとの共同制作となる二本の実験映画は、こうした平面における知的な探求に時間軸を加えた情念的な表現の模索と考えられます。《Why Not(A Serenade of Eschatological Ecology)》(1969年、110分)では、裸の女性が部屋にあるドアやテーブルと格闘し、閉鎖空間における身体パフォーマンスのように存在のあり方を問いますが、《For Example(A Critique of Never)》(1971年、95分)では、その主題をさらに突き詰め、ニューヨークの路上を徘徊するホームレス少年の身体と周囲の環境の変化を記録し、荒川+ギンズのテキストを繰り返し重なり合わせています。