岡本秋暉(1807-1862)は大西圭斎に師事し、その後渡辺崋山に指導を受けた江戸時代後期の画家です。小田原藩の大久保候に仕え、写生を基礎とした装飾的な花鳥画を得意としました。これまで文人画家の末流として位置付けられるにとどまり、主要作品や崋山とのかかわりを示す逸話類が知られている程度でしたが、江戸時代後期の長崎派画風を展開させた主要な画家であり、その全体像を把握することに大きな意義があります。展覧会では第一章 前期の作品、第二章 大画面制作、第三章 干支印作品群とその周辺、第四章 後期の作品、第五章 制作と交友、以上五章により、初公開作品を含む秋暉の屏風、板戸、軸、巻子など80点を展示、その画業と作品の全容を見直します。