美濃加茂出身の書家 座馬井邨(1916-2015年)は清明な感性をうかがわせる優美な書を手掛け、日展を中心に活躍しました。
座馬井邨は常にメモ帳を持ち歩き、歌を書き綴っていました。岐阜の風物、時事的な関心事、書作への思いなど、様々な題材をユーモラスに歌い、 清々しい書に昇華させました。本展は、ご遺族から今年度、寄贈を受けた晩年の作を中心に展示いたします。
岐阜市を拠点に生涯、旺盛な書作に取り組みましたが、故郷美濃加茂への思いは深く、後進の育成や書の普及活動など、この地の文化の発展に寄与しました。 美濃加茂出身の文人坪内逍遙の書の収集もその一つです。本展と同時開催の企画展「墨伝う思い―書を通して知る文人 坪内逍遙」では座馬が当館に寄贈した逍遙の書の数々を披露します。 逍遙と同じく書と歌と故郷を愛した、現代の文人・座馬井邨の在りし日の姿を紹介します。