20世紀を代表するスペインの巨匠としてピカソ、ダリと並び称されるジョアン・ミロ。彼はカタロニアの風土にこだわり、大地にインスピレーションの源を求めるとともに、自然との交感を通して、太陽、月、星、鳥などを独特の抽象的要素に変換し、詩的で宇宙的な世界を表現した芸術家です。
生涯を通じて、油彩をはじめ、版画、彫刻、陶芸、壁画、タピストリー、舞台装飾に至るまで幅広く手掛けており、特に版画は35歳になって本格的に取り組みましたが、以後、油彩と拮抗する彼のライフワークとなりました。その技法は多岐にわたり、さらに複数の版画技法を組み合わせるミロ独特の混合技法で、それまでになかった新たな創造を目指し、2500点以上の作品を世に残しましています。
本展では、ミロの版画第1作目の作品《一羽の小さなカササギがいた》を含み、初期から晩年までを網羅した140点余を紹介します。
版画芸術を通して、画家のインスピレーションの源泉を探り、造形の詩人とうたわれたジョアン・ミロの世界をご堪能ください。