■横井礼以展に寄せて
横井礼以は、1886年(明治19)愛知県海西郡弥富村(現・弥富市)に生まれ、東京美術学校(現・東京藝術大学)に入学しました。卒業後は2度の文展入選ののち、二科賞受賞、二科会会員となるなど大正期に本格的なフォーヴィスムやキュビスムの画家として活躍しました。ところが1927年(昭和2)眼病のため帰郷。知多半島の河和町(現・美浜町河和)で、療養をしながら自然と一体化した日本的な心象性を追求する独自の制作を展開していきます。また、1930年(昭5)名古屋市内に緑ヶ丘中央洋画研究所が設立されると、そのトップとして後進の育成にも力を入れました。そして西村千太郎や市野長之介らがつどい、戦況悪化のため1944年(昭19)に閉所するまで14年間に300名近くが学んでいます。本展では、横井芸術の歩みと、あわせて主な教え子たちによる作品も展覧いたします。どうぞごゆっくりご鑑賞ください。