『めぐるりアート静岡』は、静岡市内のさまざまな場所を会場に、今を生きるアートを紹介する展覧会です。大学、美術館、市民、行政などによる地域連携の美術展として2013年に始まり8回目を迎えました。2016年度から静岡市が主催者に加わるとともに、JR東静岡駅北口前の市有地、アート&スポーツ/ヒロバを暫定5年間の会場とし、身近な場所で規格外のスケール感、あるいは想像力あふれる作品と出あう機会を提供してきました。本年はその5年目、いよいよ最終年となります。
それに向け準備を開始した3月末から5月にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大によって展覧会は開催が見通せない状態になり、いくつかの関連事業も中止せざるをえませんでした。そしてその後の推移のなかで、ヒロバはもとより市内2つの美術館も、様々な対策を講じ、来場者をお迎えできることになりました。
今、私たちはあらためて、人と人との出あいと触れ合いの大切さをかみしめています。また、サイトカインストーム(免疫システムの暴走)が身体にとって危険なように、他者への過剰な警戒が、心や社会をむしばみかねないという危険性にも少しずつ気づきはじめています。アーティストは、コロナ禍にあってなお、心の底からわき上がるさまざまな感情、そして彼・彼女にとって最も大切なこと・興味のあることをカタチにしようとしています。
『めぐるりアート静岡 2020』は、この地域との関わりを大切にするアーティストとともに、アートプロジェクトというもう一つの日常/非日常、そしてポストコロナに向けた希望の舞台を用意します。
石上和弘(いしがみかずひろ) 彫刻家/静岡市在住
石上和弘は、おもに木を素材に堅実かつ親しみやすい彫刻を作る。今展は3点の出展予定である。2017年、第27回UBEビエンナーレ(山口県宇部市)で市民賞ほかを受賞した《アフター・アップル》。2018年の本展出品作《道の作り方》に少し手を加えたもの。そして芭蕉の皮をモチーフとした新作である。迫力ある3点が並び立ち、人々がその間を散策するとき、広い芝生広場がどのような景色に変貌するのか、刮目して待ちたい。
[ アーティストトーク ]
日時:10/24(土) 14:00-14:40
場所:東静岡アート&スポーツ/ヒロバ
岩野勝人(いわのまさひと) 彫刻家/京都府在住
2016年にスタートした彫刻家・岩野勝人による「コンテナ・アートベース」プロジェクトも足掛け5年、今年度で当初の期間を終了する。これまで、“アートの秘密基地”には人型の座れる真っ赤な彫刻「メンタル・チェア」をはじめ、等身大の“キリン”や“ゴリラ”、“青い人”が次々と登場してきた。今年は、昨年も開催したワークショップ「くもならべ」がパワーアップ。みんなが描いた雲を、作家が大きく立体的な“雲の群れ”にして、アートベース前のヒロバに設置する。
[ アーティストトーク ]
日時:10/17(土) 13:00-13:30
場所:東静岡アート&スポーツ/ヒロバ
千葉広一(ちばこういち) アーティスト/静岡市在住
軽やかなもの、こわれやすいもの、傷つきやすいもの、身近なもの、さりげないもの、、、。千葉の作品は、誰もが秘める心のゆらぎを映しだす。思春期、孤独、不安、眠り、家族、別れ、旅立ち、、、。映像で、それもネット環境のライトな感覚で、季節、花、草、日の光、夜の光、風、海、水、雨、雪を見つめる。ヒロバの車掌車で、そしてInstagramで。
[ アーティストトーク ]
日時:11/7(土) 17:00-17:30
場所:東静岡アート&スポーツ/ヒロバ 車掌車ギャラリー付近
日詰明男(ひづめあきお) アーティスト/川根本町在住
日詰明男は、大学で建築を学んだ後、30年来、自然界の様々な形の中にあらわれる不思議な比率、黄金比に基づくフラクタル構造を造形や音楽で表現する仕事を続けている。2016年、「めぐるりアート静岡」ヒロバ会場で「黄金比の実験都市in東静岡」を発表、「バンブーストック・フェスティバル」を開催した。今回は、巨大な竹の星籠「Giant Bamboo Star Cage」をヒロバで制作する予定。
[ アーティストトーク ]
日時:11/1(日) 13:00-13:40
場所:東静岡アート&スポーツ/ヒロバ
福井揚(ふくいよう) アーティスト/裾野市在住
福井揚はポップな彫刻陶芸と、極彩色のフェルト片で蔽われた名状しがたい「モノ」を創る。その「非実用的で馬鹿げた」行為によって、時代の閉塞や文化状況に風穴をあけ、心の底深く眠る野性を目覚めさせる。彼の作品は技法も様式も多様で、意味も意図も捉えがたい。来場者は、福井のきらびやかな謎の前にたたずみ、作品の生命、その不思議なざわめきを感じることになるだろう。
[ アーティストトーク ]
日時:10/24(土) 13:00-13:40
場所:東静岡アート&スポーツ/ヒロバ