中山道広重美術館が世界に誇る《木曽海道六拾九次之内》を揃いでご覧いただく、年に一度の機会です。歌川広重と溪斎栄泉、二人の絵師が中山道の各宿場を情感豊かに描き出しています。当館の要となる本揃物は、旧蔵者である故・田中春雄氏が長年にわたりこだわって収集したもので、まさに今摺られたような美しいものから摺り違い(色の異なる後摺り)、異版(初版と全く異なる図)といった貴重なものまで幅広く集められました。摺りの違いから生まれる浮世絵の面白さを感じていただき、美しくも厳しい山々に囲まれた道を行き交う旅人たちの息遣いと、彼らの足取りと共に姿を変える叙情的な風景美をご堪能ください。