この常設展示コーナーでは、鶴岡市が所有する美術作品を、年4期に分けて紹介しています。令和2年度の第1期は「春夏セレクション」と題して作品を展覧します。
「春」や「夏」といった「季節」は、その時期に特有の景色や植物、食物、人々の営みといった事象を捉えることによって、現在に至るまで世界中で広く描かれ続けてきました。
西洋ではもともと季節の行事や農業の様子を捉えた時祷書や、季節を象徴するようなモティーフを人物像とともに描いた寓意画といった表現がありましたが、印象派以降、画家が屋外で実際に目の当たりにした光景を表現するようになるに従い、実際の季節感が作品にも反映されるように変わっていきました。
日本においては、絵巻物のなかで風景描写によって季節が伝えられたほか、山水画や花鳥画では、折々の情景や盛期を迎えた植物を捉えることで四季が表象されました。明治以降は、西洋の画家たちの作品が紹介されるようになり、それまで日本で培われてきた絵に対する考え方と融合、または反発し合いながら発展を遂げました。現代では、画家たちはより自身の好みや視点を反映させた、自由な画題で季節を表現しています。
今回は、6人の画家による9点の作品を展示します。それぞれの画家が捉えた「春」や「夏」を感じながら、ご鑑賞いただければ幸いです。
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