写実表現において陰影法は重要な絵画技術です。バロックでは光と影による劇的な演出が誕生しました。また、20世紀には作品の表面に凹凸を作ることで作品の中に本物の影を生み出し、その効果を利用する絵画とも彫刻ともいえるような作品も登場します。そして、近現代では影そのものを作品のモチーフとして使用している作家も珍しくありません。美術史においてたびたび現れる影ですが、当館所蔵品の中にも影がキーとなる作品が多数あります。本展では、そのような作品を集め、ジャンル別に並べることによって、美術作品の中で影の担う役割を展観します。
また、第2室では、福山市名誉市民であり、福山市に本社を置く株式会社エフピコの創業者、故小松安弘氏が収集した日本刀のコレクションを紹介します。
ふくやま美術館では、2007年(平成19年)にこのコレクションの寄託を受け、保管と公開を行ってきました。2018年(平成30年)11月、小松氏の御遺志を継いだ奥様の啓子氏より、国宝7点、重要文化財6点、特別重要刀剣1点からなる、小松安弘コレクションの刀剣全14口をご寄贈いただくこととなりました。このたび、この刀剣を「小松安弘コレクション寄贈記念 日本の名刀」として特別展示いたします。