田園や森に戯れる神々や半神たち、そしてその庇護を受ける人間たちが恋や冒険を繰り広げるギリシャ・ローマ神話は、時代を経るごとに多様な解釈や創作が加えられ、豊かな広がりを見せてきました。また、18世紀から19世紀にかけて、古代遺跡の発掘調査が盛んになり、古代の社会と芸術に関するさらに多くの知識がヨーロッパに浸透します。そして、人々の歴史的・考古学的な興味は、古典主題を表現する作品の登場につながり、美術の新たな可能性を広げていきました。ダダイスムなどの前衛美術運動をはじめ、美術の表現が多様化していく19世紀末以降も神話と古代の文化や精神は、インスピレーションの源として多くの作家を魅了します。
本展では、18世紀末から20世紀半ばにかけての作家を取り上げ、ギリシャ・ローマ神話や古典古代の主題を扱った作品をご紹介します。アングル、ウォーターハウス、ロダン、ルノワール、ローランサン、シャガール、ピカソ、デルヴォーらによる甘美な古典の世界をお愉しみください。