昔ながらの竹細工は、蜜柑や柿を入れる籠、魚を入れる魚籠(びく)、花を生ける筒、掃除に使う笊(ざる)といった、私たちの身近な生活の中に溶け込んだ日用品でした。その竹細工を美術工芸品の地位にまで高めた作家のひとりが、竹工芸家として初めて国の重要無形文化財保持者(人間国宝)となった別府市出身の生野祥雲斎(1904ー1974)です。
祥雲斎は、今まで茶道や華道の道具として用いられていた竹細工を独立した造形作品として制作をはじめ、《波》、《怒涛》、《炎》、《陽炎》、など、独創的な話題作を次々と発表し、大きな注目を集めました。
今回は「いろいろなかたち」と題し、柔らかさ・力強さといった竹本来の素材を生かした作品や、編組による複雑で変化に富んだ模様の美しい作品などを紹介します。