「歴程」は、昭和10(1935)年5月に創刊された同人詩誌です。創刊同人は菱山修三、岡崎清一郎、高橋新吉、逸見猶吉、尾形亀之助、草野心平、中原中也、宮沢賢治(物故同人)、土方定一の9人でした。各々が強い構成を放つ同人によって始まった「歴程」は主義・主張を持たず、その個性を尊重しました。詩的なアナーキズムとも言うべき傾向で、同人の結びつきも人間対人間の関係によるものだったのです。以降、「歴程」にはジャンルを越えて同人が集まり、多彩な活動を展開していきます。
昭和14年4月、「歴程」通巻6号の「歴程覚え書」に「今度は続くだらうと同人間でも評判なのである」と心平が書いた「歴程」は、戦前の10年間に26号を発行・戦後、昭和22年の復巻を経て心平井生誕100年の今年、通巻500号を超えました。
現代詩史を貫く「歴程」の原点となった6人と、その創刊前後を、彼らのかかわり合いとともに紹介します。