日本刀は、元来武器として作られたものですが、日本の高い伝統的技術である 「職人の“わざ”」 を伝える芸術的作品であり、什宝として、また美術品として長い間人々の心をとらえ、大切に保存されてきました。
狭山市立博物館では、平成7年度並びに10年度におきまして、埼玉県教育委員会、埼玉県刀剣保存協議会のご協力をいただき、刀剣展を企画し好評を博したところでございます。なかでも、平成10年度に企画いたしました 『幕末刀から現代刀へ』 では、伝統技術を今に伝える現代の刀工と、それを支える刀職者を多く紹介し、現代に息づく日本刀の世界を知る好機となりました。
今回の企画展では、日本刀を支える職人のなかでも、特に高度な技術を要する刀身彫刻に焦点をあて紹介します。現在、数少ない刀身彫刻師である、狭山市在住の橋本琇巴氏のご協力をいただき、その作品から刀身彫刻の高い芸術性と、伝統技術の粋をご覧いただければ幸いです。