東京国立近代美術館工芸館は、2020年、石川県金沢市へ移転します。それに先駆け、2016年度より、石川県立美術館をはじめ石川県内の美術館において、工芸館の選りすぐりのコレクションを紹介してきました。4度目の企画となる今回は、漆工・木工・竹工分野から48点を展示します。
今回のテーマは、「漆・木・竹工芸の見方」です。提案する作品の見方は、まず2つ。「近づいて見る」と「遠ざかって見る」です。作品を「近づいて見る」と、制作上のこだわりの工夫や作品の組成に気づくことができます。また、近づいて見るのと同様に、「遠ざかって見る」ことも重要です。全体を捉えることで、フォルムや構造が見えてきます。
さらに3つ目として、「他と比べて見る」という視点も提案します。例えば、「編む」という共通点から作品に着目してみると、竹のヒゴを編んでいるもの、木の皮を編んでいるもの、編まれたものの上に漆を塗ったものもあります。素材の違いや表面の処理など、それぞれを比べてみることで、新しい発見があるのではないでしょうか。
①近づいて見る・②遠ざかって見る・③他と比べて見る
という3つの見方によって、漆工・木工・竹工作品の新たな魅力を見つける機会になれば幸いです。