中澤弘光《風景(秋の湖畔)》は、1995(平成7)年に当館日本洋画のコレクションに加わって以来、大画面の湖畔風景画として長く親しまれてきました。日光中禅寺湖を描いたと目される本作では、紅葉/黄葉の木々と水色鮮やかな湖面との対比、秋の陽光が作りだす影、画面全体を支配するからりと乾いた空気など、秋の季節感が的確に表出されており、外光派洋画の第一人者である作者の力量がよく反映されています。まさにこの季節に鑑賞したい作品であると言えましょう。また、本年はこの作品が描かれてからちょうど100年にあたる年でもあります。この機会に、当館収蔵日本洋画から、東京美術学校における中澤の師である黒田清輝や同門の和田英作、あるいは中澤とともに光風会で活躍した山本森之助、三宅克己といった画家たちの作品を選りすぐり、併せて御紹介いたします。