アントニ・ガウディ(1852-1926)は19世紀から20世紀への転換期に活躍した建築家で、今もバルセロナで建設中のサグラダ・ファミリア聖堂の設計等、独創的な建築で広くその名を知られています。そのガウディの生誕150周年を記念して昨年バルセロナで開催された「国際ガウディ年」関連行事の核として大きな話題を呼んだのが「ガウディ かたちの探求」展です。
ガウディがその生涯をかけて研究と努力を重ね、ようやく獲得した独特の建築造形。その一見複雑で難解、そして装飾的に思えるかたちのうちに、実は、素材を生かし現実的に機能する、幾何学的な構造が介在していたことが、近年のコンピューター技術の発展の力を借りて初めて解き明かされるようになってきました。ガウディの天才とは、まさにこの自由なかたちの発想とそれを裏づける論理的な思考の結びつきにこそあったのです。
「国際ガウディ年」総合ディレクターをつとめた美術評論家のダニエル・ジラル=ミラクラ氏とそのチームが、模型やCGを駆使して近年のガウディ研究の成果をわかりやすく提示するこの展覧会は、これまでのガウディ観を新たなものにすることでしょう。なお日本唯一の会場となる東京展開催に際し、バルセロナでの展示に、ガウディの人と作品を写真や家具、資料などによって紹介するイントロダクションを付け加え、本格的なガウディ展として構成します。