私ごとですが、私の母は革命前のロシアで生まれ育ちました。子どもの頃は、マトリョーシカで遊んだと申します。日本では昭和の時代、どこの家にもこけしがありましたが、私の家にはこけしではなく、ロシアの玩具『マトリョーシカ』があったのです。おもちゃという物は、どこの国の子どもたちにも同じ様になくてはならないものです。
おもちゃには、子どもが自発的に作り出すものと、大人たちが与えるものがありますが、与えるものは本当に質の良いものでなくてはなりません。子どもに何を与えるのかによって、その国の文化度が計られ、又未来が決定されるとも云われています。良いおもちゃは子どもばかりではなく、大人も創造の翼を広げ、心が豊かになるものです。
おもちゃが、どこでどんな風に生まれたのかと考えると興味はつきません。私はロシア中を旅して、様々な土地で様々な素晴らしい民俗玩具に出逢いました。それらは、かつて日本にもあった親しみ深い「木」「布」「土」「紙」のおもちゃ「麦わら」や「木の実」「動物の骨」等といった自然素材のおもちゃが数多くありました。ソ連時代は自然素材から、プラスチックなどの工業製品に変化していき、現在ロシアでは、昔の素朴なおもちゃへの復興運動がなされています。
この度、ロシアの伝統的な民俗玩具を素材別に分類し、その源流から現在までをご紹介させていただきます。
沼田元氣