華鴒大塚美術館は、平成6(1994)年に近現代日本画をメインに洋画、彫刻などあわせ約400点の収蔵品で開館しました。館名「華鴒」は、収藏品の多くが花鳥画モチーフとすることに由来します。
このたび、当館の開館25周年を記念して、王花の異名を持ち、所蔵品のなかでも数多いモチーフであります「牡丹」を描いた作品を紹介する企画展を開催いたします。
牡丹は中国原産の花ですが、日本には8世紀頃に中国から薬用植物として入り、その後観賞用としても栽培されるようになり、江戸時代には数多くの園芸品種が生み出されました。牡丹は大輪にして華麗、豪華、そして妖艶な花の姿が愛でられ、同時に古来より多くの絵画や各種工芸品のかっこうのモチーフとしてもしばしば表されてきました。
本展では、近現代を代表する日本画家たちが描いた豪華絢爛な牡丹の競演をお楽しみいただきます。牡丹は、その存在感から「花王」「百花の王」に称えられます。花言葉は、「恥じらい」「富貴」。また、「立てば芍葉、座れば牡丹」と女性の美しさにも形容される花の貴婦人であり、日本人の美意識に共鳴する花であります。四季折々の風趣に恵まれ、自然とともに営みを育んできた日本人は、古来より草木花に寄せる思いは深く、豊かであります。牡丹をめぐる画家たちの多彩な表現をこの機会にご堪能ください。