わたしたちのふるさと青森は、白神山地をはじめとする青い森と青い海に抱かれた、自然の恵みあふれる地域です。その山と海のあいだに位置する平野には、いま見渡す限りの田園がひろがり、日本有数の穀倉地帯となっています。かつてそこは、ヨシが茂る広大な湿地でした。
わたしたちの祖先は、はるか遠いむかしから、湿地の豊かな恵みを持続的に活用し、土地を拓き田を耕してきました。それは近世の新田開発や、近代の土地改良事業へと連なる、開拓と稲作の歴史です。
厳しい気候のなかでの稲作は困難を伴いましたが、藤坂5号をはじめとする冷害に負けない強い品種の開発や、栽培技術の改良が重ねられ、おいしい県産米が生まれました。それは郷土の先人たちの稔りへの飽くなき努力のたまものであり、わたしたちのふるさとの誇りです。
農業王国・青森のいしずえを築いた、湿地の開拓と稲作の歴史をふり返り、自然と人間のあるべき未来を展望します。