星野富弘の母、知野は、星野が大学卒業直後に頸髄を損傷し、入院してからは、かたときも離れず、9年間の看護を行いました。「わが身を切り刻んででも生きる力を富弘の体の中に送り込みたい」という一心での看護生活でした。星野の詩画作品には「母」をテーマとするものが数多くあります。母の存在は大きく、母の思いを受け止めていたからこそ生まれた作品の数々です。母がいなければ、詩画作家としての星野富弘は存在しなかったと言ってもよいでしょう。星野が退院した後、知野は故郷で畑仕事をしながら、穏やかな生活を送りました。温厚で、いつも笑顔を絶やさない人でした。2018年の夏、97年の生涯を終えました。この展覧会では、数多くの人々に感動を与えている「母」をテーマとする作品の数々を写真や資料と共にご紹介します。