洋画家・三岸節子(1905-1999)と三岸好太郎(1903-1934)の長男として、東京に生まれた三岸黄太郎(みぎしこうたろう、1930-2009)。画家を両親にもつ彼もまた、画家を志して23歳のとき、単身フランスへ留学します。翌年には母・節子も渡仏、二人は画題を求めてヨーロッパ各地を巡りました。その後、帰国時期を挟みながら黄太郎の家族を伴った滞欧生活は20年間にも及び、とりわけフランス・ブルゴーニュ地方の小村ヴェロンにアトリエを構えて以降は、詩情豊かな風景画の数々を生み出しました。
重厚で情熱的な作風の母・節子、幻想的でロマンチックな父・好太郎に対し、独自の静謐(せいひつ)さをたたえた世界を展開する三岸黄太郎の作品をご紹介します。息子として、一人の画家として、ときにはマネージャーとなって節子を支えた黄太郎。没後10年を記念して、黄太郎が節子とともに歩んだ道程をご覧ください。