タイトル等
鍋倉 武弘展
会場
ラッズギャラリー
会期
2019-08-27~2019-09-08
休催日
月曜日休廊
開催時間
12:00~19:00
最終日17:00迄
概要
初個展によせて
鍋倉武弘(1940年生まれ)は小学一年生のときから、金山明の住まいであった妙法寺の離れに通って書や絵を習い、金山が1955年に具体美術協会(具体)へ加入後は、金山の作品制作を手伝い始めたという経歴を持つ。また金山と共に具体会員になった田中敦子の制作にも協力し、鍋倉自身が「メカ係」と称するように、金山・田中が必要とした機器の製作担当として大きな役割を担った。例えば、金山が 1957年から用いたモーター付自動線引機を実際に手がけたのは鍋倉であり、田中が1966年に発表した円型作品の回転部分の機器を考案したのも鍋倉である。
彼は金山の助手を務めた頃から自身も作品を制作し、金山らと共に芦屋の吉原治良宅に作品を搬入して、吉原からは常に肯定的な評価を得たという。具体美術展への初出品は弱冠17歳で、第5回具体美術展(小原会館・東京、1958年)には、ビニール傘用の薄いビニールシートをトーチランプで焼き、自在に変形させた作品 2 点を発表している。正式な具体会員になったのは 1965年だが、それまで継続的に具体美術展に出品しており、記録写真の中には、トタンの波板の凹凸に沿って連続的な模様を描き込んだ作品や、50 本並べた芯地の多彩なテープを、同時に様々な速度で回転させた作品などが見つかる。これらの作品における鍋倉の主要な関心は、視覚的な様相の変化に注がれており、表面に凹凸があれば見る角度や方向によって作品のイメージは細かく変わるであろうし、芯地のテープがモーターで回転する場合はまさしく物理的に変化し、隣り合う色の組み合わせが刻一刻と推移していく。
鍋倉の初個展となる新作を集めた本展は、そうした狙いを引き継ぎつつ素材を一新して、「見る」ことの不思議さを鑑賞者に体験してもらう場になると思われる。表面の凹凸にそれぞれ塗布された絵具は、同じ色相であってもすべて微妙に異なっており、目を凝らして見れば見るほどその多様さと各々の差異に気づく。また色帯が凹凸に沿って垂直の場合と、横断して水平の場合とでは、たとえ類似の色彩の組み合わせであっても全く違って見えるのであり、さらに絵具の塗布でマスキングテープを使用した場合としなかった場合でも、視覚的には全く異なっている。加えて注目すべきは、絵具が合成樹脂塗料のために油絵具よりもつややかな質感を放っている点で、支持体の突出と相俟って強い物質感を生んでいる。このように、イメージの変容に着眼する姿勢や、それを実現するために素材のあり方に工夫を凝らす手法は、具体時代に培ったものに他ならない。特に金山・田中のごく身近にいて具体の活動に参加した作家であったゆえに、この新作展は、金山・田中の志向やその精神の継承をも感じ取れる機会になるだろう。 加藤 瑞穂(美術史家、大阪大学総合学術博物館招へい准教授)
イベント情報
27[火] 18:00~ Opening Party
ホームページ
http://www.ladsgallery.com/exhibitions/room-a190827.html
会場住所
〒541-0043
大阪府大阪市中央区高麗橋4-8-5 淀屋橋クリスビル(正亜ビル)1F
交通案内
・地下鉄御堂筋線・淀屋橋駅(⑨・⑫出口)より西へ徒歩5分
・地下鉄四ツ橋線・肥後橋駅(⑤-A・⑥出口)より東へ徒歩5分
ホームページ
http://www.ladsgallery.com/
会場問合せ先
06-6453-5706
大阪府大阪市中央区高麗橋4-8-5 淀屋橋クリスビル(正亜ビル)1F
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