熊本市現代美術館のフリースペ ース「ホームギャラリー」は、2002年の開館当初から、来館者によって多目的に活用されてきました。中でも、マリーナ・アブラモヴィッチによる壁面本棚の作品《Library for Human Use》(2002)には、6000 冊の本が開架され、美術館の中の読書室として、日常の空間をつくりあげています。しかし、それでも開架冊数には限界があり、新しい本が出版されても、本棚の中身はほとんど動きがないのが現状です。シリーズ「本と人と作品の空間を考える」第3弾となる今回は、雑誌のバックナンバー(約20タイトル約300 冊)を開架するとともに、古着をリメイクした服「途中でやめる」の販売や「〈新しい骨董〉とでもいうべき何か」の模索にも取り組む山下陽光の企画協力のもと、「現代美術館」としての本や情報の新たな価値について考える機会をつくります。