公文式学習法で知られる公文教育研究会は長年にわたり、「子ども浮世絵」の収集と研究を行っています。その理念はフランスの歴史学者であるフィリップ・アリエスの絵本資料を用いた中世ヨーロッパにおける子ども研究に基づいています。本展ではその中から子どもの遊びをテーマにした選りすぐりの浮世絵、絵巻、屏風、絵本、玩具など約170点を展示いたします。
江戸の庶民の生活を活写した浮世絵には、母子絵と呼ばれる母子の情愛を描いたものや、子どもたちの遊びや年中行事を捉えたもの、大人たちの願いや想いを反映したものなど、歴史資料としての面ばかりでなく、今と変らぬ日常の様子や愛おしい様子が見て取れます。加えて、浮世絵版画は江戸時代の代表的印刷物であったことから、子ども向けの教育、娯楽のための本や絵画、双六や凧などのおもちゃにも用いられ、広く庶民に楽しまれていました。
この展覧会ではそうした江戸時代の子どもたちの様子や、当時の遊びを題材に、大人も子どもも楽しめる浮世絵の世界を紹介します。