1983年、東京富士美術館で開催した開館記念「近世フランス絵画展」の実現にあたり、故ルネ・ユイグ氏(1906-1997、前ルーヴル美術館絵画部長、アカデミー・フランセーズ会員)は、フランスの重要な美術館から、貴重な作品を借用する交渉に尽力されました。
続いて開催した「栄光の18世紀フランス名画展」「フランス革命とロマン主義展」もまたユイグ氏が学術監修を担いました。それらの展覧会から30年以上が過ぎた今日、ユイグ氏へのオマージュを込めて、あらためて17世紀から19世紀半ばを代表する画家たちの作品による、フランス絵画の精華というべき展覧会を開催します。
本展は、時間軸に沿った3つの章によって、「大様式の形成と変容」という、より明確で研究的なテーマに沿って構成されます。フランス絵画の最も偉大で華やかな3世紀、すなわち17世紀の古典主義から18世紀のロココ、19世紀の新古典主義、ロマン主義を経て、印象派誕生前夜にいたるまでの壮大なフランス絵画の流れを67点の油彩画、12点の素描によってたどります。さらに当館では、開館以来、ユイグ氏の助言のもとフランス絵画の収集に力を注ぎ、17世紀から19世紀の重要なコレクションを形成してきました。本展ではそれらの代表作も出品します。